患者さんのお薬の数が多かったり、飲み方が複雑で患者さんの理解が難しかったり、心身の特性により錠剤等を直接シートから取り出すことが困難な場合など、お薬をシートから取り出して朝食後・昼食後・夕食後のように服用時点ごとにまとめるのが一包化です。
当然、手間のかかることですのでお会計は発生します。
本日は一包化加算についてまとめてみました。事務員の方もレセコン登録する際に知っていなければいけない一つだと思います。私なりにわかりやすくまとめたつもりですので、参考にしていただければと思います。
一包化するには
誰でも、希望すれば一包化ができるというわけでなく、治療上の必要性が認められる場合に、医師の了解を得た上で行うものであり、処方箋に医師の指示で「一包化」の旨を記載してもらわなければなりません。記載がない場合は疑義照会(医師に確認)をします。
医師の指示がなくただ服用が面倒という理由だけで一包化を希望する時などは、実費(保険外)を徴収することになり、実費は薬局ごとに自由に設定することができます。
例:7日分ごとに100円
一包化加算の算定要件
算定要件
2剤以上の内服薬又は1剤で3種類以上の内服薬を服用時点ごと一包化を行った場合には、一包化加算として、当該内服薬の投与日数に応じ、次に掲げる点数を所定点数に加算する。
内容 | 点数 |
---|---|
42日分以下の場合 | 投与日数が7又はその端数を増すごとに34点を加算して得た点数 |
43日分以上の場合 | 240点 |
文章の説明だけではわかりにくいを思いますので、後半に例を用いて解説していますので確認してみて下さい。
一包化加算のポイント
医師の指示なしでは一包化できず、処方箋に記載が必要
処方箋の受付1回につき1回算定できる。
基本、一包化加算と自家製剤加算及び計量混合調剤加算は一緒に算定できない。
一包化の指示があったも条件を満たさなければ算定できない。
日数によって点数が異なるので、残薬調整などの際に加算場所に注意。
同一医療機関のA科とB科の処方せんを同時に受付、個々の処方せんでは算定要件を満たさないが、2枚の処方せんを併せれば算定を満たす場合は算定できる。(レセプト摘要にコメントが必要)
一包化加算の例
処方例で私なりにわかりやすくまとめてみました。文章だけだとわかりにくいですよね。
処方例①
メコバラミン500 3錠 毎食後
アムロジピン5 1錠 朝食後
まず、一番の基本として2種類の飲み方を一緒にした場合は2種類の飲み方があるので、この場合は一包化加算を算定できる
処方例②
アムロジピン5 1錠 朝食後
アトルバスタチン5 1錠 夕食後
2種類の飲み方ではあるが、朝食後と夕食後のように服用時点がかぶらない場合は算定できない。
処方例③
ピオグリタゾン15 1錠 夕食後
エクア50 1錠 夕食後
アムロジピン5 1錠 夕食後
この場合は飲み方が1種類しかなくとも3種類以上のお薬を一包化すれば算定できる。
処方例④
プレドニゾロン1 3錠 朝食後
プレドニン5 1錠 朝食後
1剤で3種類以上の内服薬なので同じ薬が何錠あろうとも1種類と数える。全部で4個あるが薬は2種類しかないので算定できない。
処方例⑤
アムロジピン5 1錠 朝食後
エクア50 1錠 朝食後
ピオグリタゾン15 1錠 朝食後
ゾルピデム5 1錠 就寝前
一つの飲み方で3種類以上入っているので、飲み方は重複していなくても算定できる。
処方例⑥
原則 一包化加算を算定した場合においては、自家製剤加算及び軽量混合調剤加算は算定できないものであること。
トラネキサム酸250 3錠 毎食後
カルボシステイン250 3錠 毎食後
ポララミン2 1.5錠 毎食後
3種類以上なので一包化加算を算定できる。ここでポララミン錠は1回0.5錠なので、半錠にするため通常は自家製剤加算を算定できるが一包化にした剤に含まれるときはこの自家製剤加算は算定できない。
処方例⑦
補足 一包化加算を算定した剤については、自家製剤加算や計量混合調剤加算は算定できないが、一包化加算を算定していない剤(例:軟膏のミックスなど)に対して算定することは可能。自家製剤加算や計量混合調剤加算は1調剤行為に対して算定できる。
メコバラミン500 3錠 毎食後
レバミピド100 3錠 毎食後
ロキソプロフェン60 3錠 毎食後
ゾルピデム5 0.5錠 就寝前
ゾルピデムは飲み方がかぶっていなく一包化算定の対象にはなっていない。一包化に対象となっていない薬剤に関しては自家製剤加算を算定することができる。計量混合調剤加算も同様に算定できる。
処方例⑧
メコバラミン500 3錠 毎食後
レバミピド100 3錠 毎食後
ロキソプロフェン60 3錠 毎食後
ムコダインDS 3g 朝夕食後
ムコソルバンDS 3g 朝夕食後
処方例⑦とは異なり飲み方に重複があるので一包化加算を算定して、計量混合調剤加算は算定できない。
処方例⑨
ムコダインDS 3g 朝夕食後
ムコソルバンDS 3g 朝夕食後
アスベリン散 3g 朝夕食後
散剤だけの時は一包化加算と計量混合調剤加算どちらをとるか。全てが粉薬で3種類以上を混合して毎食後で分包したら、一包化加算の算定要件を満たす。しかし、このような場合は通常は計量混合加算のみ算定する。ただし、一定の条件を満たすと一包化加算の算定することも可能
処方例⑩
A病院
B科 アムロジピン5 1錠 朝食後
ピオグリタゾン15 1錠 朝食後 (一包化指示)
C科 レバミピド100 3錠 毎食後
ロキソプロフェン60 3錠 毎食後 (一包化指示)
同一医療機関のB科とC科の処方せんを同時に受付、個々の処方せんに記載された処方はそれぞれ2種類ずつで算定条件を満たさないが、2枚の処方せんを併せれば、服用時点がかぶる2剤以上の内服薬となり、一包化を算定しても差し支えない。もちろん、処方せんどちらにも一包化指示があり、B科とC科を一緒に一包化していることがベスト。
処方例⑪
最近では、残薬調整する場面が多いと思います。このように残薬調整などで日数が異なる場合についてです。
カンデサルタン4 1錠 朝食後 28日分
フロセミド20 1錠 朝食後 28日分
エピナスチン20 1錠 夕食後 14日分
ラフチジン10 2錠 朝夕食後 21日分
エルサメット 3錠 毎食後 28日分
メコバラミン500 3錠 毎食後 28日分
算定要件は満たすが日数が異なる場合は少し複雑なので注意です。
この場合は、朝食後と毎食後で28日分(136点)、朝食後と朝夕食後で21日分(102点)、夕食後と毎食後で14日分(68点)の3つの点数別に分けられます。この3つのどこで一包化加算を算定しても問題はありませんが、一番高い28日分で算定するのがいいです。
処方例⑫
処方例⑪の毎食後の日数が7日分になったパターンの処方例です。
カンデサルタン4 1錠 朝食後 28日分
フロセミド20 1錠 朝食後 28日分
エピナスチン20 1錠 夕食後 14日分
ラフチジン10 2錠 朝夕食後 21日分
エルサメット 3錠 毎食後 7日分
メコバラミン500 3錠 毎食後 7日分
処方例⑪とは違い、朝食後と毎食後で7日分(34点)になります。朝食後と朝夕食後の21日分(102点)で算定するのがいいです。朝食後と朝夕食後の21日分で算定することはわかっているのに朝食後の28日分に一包化加算を算定してしまうミスが私の働く薬局でも多いので注意です。
条件を満たす日数が異なる場合は短い方の日数で一包化加算を算定する。
最後に
私も薬局に就職してから加算種類の多さや算定忘れなどいろいろ苦労しました。算定忘れは薬局の収益に影響しますので取れるものは積極的に取りたいですよね。これからもみなさんに少しでも参考になれればと思いますのでよろしくお願いします。
以上になります。
どうぞ、ご参考にしていただけると嬉しいです。ご不明点やご質問などがありましたらコメント、お問い合わせからお願いします。その他、まとめてほしい内容や加算、薬局のことなど記事なしてほしい内容がありましたらお気軽にご連絡よろしくお願いします。
皆さんと調剤事務員としてステップアップできればと思います。