服薬情報等提供料は、平成24年4月の調剤報酬改定において、それまで別に評価されていた調剤情報提供料および服薬情報提供料を統合したものとして新設されました。
服薬情報等提供料とは
保険薬局において調剤後も患者の服用薬や服薬状況に関する情報等を把握し、患者若しくはその家族等又は保険医療機関に当該情報を提供することにより、医師の処方設計及び患者の服薬の継続又は中断の判断の参考とする等、保険医療機関と保険薬局の連携の下で医薬品の適正使用を推進することを目的とするものである。
名称 | 点数 |
---|---|
服薬情報等提供料1 | 30点 |
服薬情報等提供料2 | 20点 |
服薬情報等提供料1について
以下の場合に算定できる。
【服薬情報等提供料1】
保険医療機関の求めがあった場合において、患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も当該患者の服用薬の情報等について把握し、保険医療機関に必要な情報を文章により提供等した場合に月に1回に限り30点を算定する。
服薬情報等提供料1のまとめ
・当該患者の服用薬及び服薬状況
・当該患者に対する服薬指導の要点、患者の状態等
・残薬の有無、残薬が生じている場合はその量及び理由
・副作用の有無
・副作用が生じている場合はその原因の可能性がある薬剤の推定
服薬情報等提供料2について
以下の場合に算定できる。
【服薬情報等提供料2】
患者若しくはその家族等の求めがあった場合又は保険薬剤師がその必要性を認めた場合において、当該患者の同意を得た上で、 薬剤の使用が適切に行われるよう、 調剤後も患者の服用薬の情報等について把握し、患者、その家族等又は保険医療機関、必要な情報提供、 指導等を行った場合に算定する。
服薬情報等提供料2のまとめ
・当該患者の服用薬及び服薬状況
・当該患者に対する服薬指導の要点、患者の状態等
・当該患者が容易に又は継続的に服用できるための技術工夫等の調剤情報(処方箋の記入上の疑義照会等では算定できない。)
その他のポイント
疑義解釈(Q&A)
Q 処方箋発行保険医療機関から情報提供の求めがあった場合には、患者の同意がなくても服薬情報提供料1を算定してよいか。
A 算定できない。患者の同意は必要である。
Q 服薬情報等提供料を算定した場合には、レセプト摘要欄への記載が必要か。
A レセプト摘要欄への記載は必要ないが、医療機関等に情報提供した文書の写しを薬剤服用歴の記録などに添付しておく必要がある。
Q 処方箋の記入上の疑義等では算定できないとあるが、具体的にはどのようなものか。
A 薬学的な判断を伴わない、以下のようなものがあげられる。
単なる処方箋上の記入漏れ、記入ミス、判読不能。
軟膏をどこに塗るか。
点眼をどちらの目にさすか。 など
Q 服薬情報等提供料は、医療機関ごとに月1回算定できると考えてよいか
A その通り。ただし、 異なる医療機関又は診療科に対する服薬情報提供であれば、 当該医療機関又は診療科ごとに月1回に限り算定できる。
Q 服薬情報等提供料は、薬剤服用歴管理指導料を算定していなくても算定可能か
A 算定できる。薬歴に基づき保険薬局が情報提供の必要性を認めた場合のほか、医師の求めに応じ患者の服薬状況を保険医療機関に情報提供する場合もある。ここでいう「服薬状況」とは、患者が薬剤の用法及び用量に従って服薬しているか否かに関する状況のほか服薬期間中の体調の変化等の患者の訴えに関する情報を含むものである。
Q 服薬情報等提供料は、処方箋受付のない日でも、算定要件を満たせば算定可能か
A 可能。次回の処方箋受付時に算定できる。
Q 入院中の患者が他医療機関を受診して処方箋が交付された場合、出来高入院料を算定する病床の入院患者であれば、服薬情報等提供料を算定できるものと理解してよいか
A 貴見のとおり。
Q ①吸湿性等の理由により長期保存の困難性等から分割調剤する必要がある場合や、②粉砕等の特殊な技術工夫により薬剤の体内動態への影響を認める場合についても、服薬情報等提供料2を算定できるという理解でよいか
A そのとおり。
Q 服薬情報等提供料2における服薬期間中の状況把握、指導はどのように行うのか
A 患者が来局した際や患者から電話があった場合に、直接患者と対話して行う。ただし、患者が高齢者、小児等の理由により本人から話が聞けない場合は家族等、直接看護に当たっている者に対して行っても差し支えない。
Q 患者又はその家族等の求めに応じて実施した情報提供については、次回処方箋受付時に、 前回の処方について服薬指導を行った回数分、服薬情報等提供料を算定できると考えてよいか
A その通り。ただし本情報提供料の算定について患者の同意が得られている場合であって、かつ次回受付時に再度、服薬状況や患者の体調変化などを確認することが必要である。なお、次回受付時における服薬状況等の確認及び必要な指導の算定については、その確認及び指導の内容に応じて算定することができる。
Q 患者又はその家族等の求めに応じて実施した情報提供については、次回処方箋受付時に算定できるが、前回の処方箋受付日から次回の処方箋受付時までの経過期間に制限はないと考えていよいか
A その通り。
Q 患者又はその家族等の求めに応じて実施した情報提供については、患者や家族からの電話により服薬指導を行った場合であっても算定可能か
A 算定できる。ただし、本情報提供料の算定について患者の同意が得られている場合であって、かつ次回受付時に再度、服薬状況や患者の体調変化などを確認した場合に限る。
Q 服薬情報等提供料は、内服薬が処方されていない場合でも算定可能か。また、算定可能な場合には、服薬期間はどのように判断すればよいか
A 内服薬以外でも算定可能である。外用薬などにおいても投薬期間が処方箋に記載されている場合などは、算定可能である。また本数や枚数で記載された処方箋の場合にあっては、薬剤の適応症などに応じて、医師に照会して投薬期間を確認してもよい。
(例示)
ニトロダームTTS 1日1回 28日分 (算定可能)
Q 患者又はその家族等の同意は文書により得なければならないか
A 文書による同意を求めているものではない。ただし、同意を得た場合はその旨を当該患者の薬剤服用歴の記録(薬剤服用歴を作成できていない患者にあっては、調剤録)に記載すること
Q かかりつけ薬剤師指導料や在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定していない患者について、当該患者の介護にかかわっている介護支援専門員等からの求めに応じ、服薬状況の確認及び必要な指導の内容について提供した場合に、服薬情報等提供料2を算定して差し支えないか
A 算定できる。ただし、本情報提供料の算定について患者の同意が得られている場合であって、かつ次回受付時に再度、服薬状況や患者の体調変化などを確認した場合に限る。
Q 服薬情報等提供料について、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している場合には算定できないこととされているが、同一月内でこれらの指導料等を算定していれば、服薬情報等提供料は算定できないのか
A かかりつけ薬剤師指導料等を算定している月であれば、服薬情報等提供料に相当する業務も当該指導等の中で行うことになるので、服薬情報等提供料は算定できない。
最後に
私のような調剤事務員はこの加算に関係ないように思いますが、基本は情報提供した次回の来局時に算定することが多い加算です。私の薬局では、次回のレセコン入力する調剤事務員が服薬情報等提供料の算定を入力します。この加算について知っていればスムーズに算定できると思いますし、ただ言われて算定しているよりも理解して算定する方がいいですよね。新人の薬剤師さんに聞かれたりもします。
以上になります。
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皆さんと調剤事務員としてステップアップできればと思います。