調剤報酬改定2026 調剤薬局

【2026年調剤報酬改定】調剤事務が押さえる注意点|算定頻度・届出・患者説明

改定の情報が出るたびに、「結局、事務は何に気をつければいいの?」となりがちです。
薬局全体の方針は経営者・薬局長が定めるとしても、改定直後に混乱しやすいのは日々の入力や請求業務です。

本記事は、2026年1月30日までの厚生労働省の資料および勉強会等での内容を参考にしながら、現時点で分かっている範囲で、調剤事務に必要なポイントを私なりにまとめたものです。

はじめに

まず、今回の改定(現時点で示されている案)では、調剤基本料は引き上げ方向とされており、あわせて一部の加算については**整理・見直し(廃止・統合)**が検討されています。

具体的には、現行の
後発医薬品調剤体制加算地域支援体制加算医療情報取得加算/医療DX推進体制整備加算は、仕組みの再編により廃止・統合される方向で議論が進んでいます。

その一方で、新たに
調剤物価対応料調剤ベースアップ評価料(新)地域支援・医薬品供給対応体制加算など、外来での算定に関わる評価が新設される可能性があります。

また、外来以外も含めると、バイオ後続品調剤体制加算の新設や、調剤管理加算の廃止など、細かな見直し項目も挙げられています。

ただし、調剤事務員として特に意識しておきたいのは、制度の名称そのものよりも、**6月以降に「患者さんの自己負担がどう変わるか」**という点と新設の加算の算定タイミングかと思います。

患者さんは、負担が下がる場合には特に質問が出にくい一方で、負担が上がった場合には
「どうして高くなったの?」
「前回より高いのはなぜ?」
と聞かれることが増えます。

そのため、改定後は、点数の増減(=負担の変化)を把握したうえで、受付・会計の場で簡潔に説明できるよう準備しておくことが大切です。

この記事では、現時点で示されている内容の範囲で、調剤事務員がミスなく動くための注意点を整理します(※最終決定で変更される可能性があります)。


事務として一番大事:6月から「患者さんの自己負担がどう見えるか」

調剤報酬は、制度名が変わること自体よりも、**窓口での見え方(=患者負担の増減)**が重要です。
負担が下がると質問は出にくい一方、上がると

  • 「前回より高いのはなぜ?」
  • 「今回から何が変わったの?」

が増えます。なので、事務としては**“点数の理由を短く説明できる状態”**にしておくのが安全です。


事務員向け:この6項目は特に要チェック

以下は、会計・算定・説明で引っかかりやすいところなので、項目ごとに「何が変わる?」「事務は何を確認する?」をまとめます。


1)調剤物価対応料(新設)|3か月に1回算定、令和9年6月から“2倍相当”がポイント

どんな加算?何の評価?

令和8年度・令和9年度の物価上昇(光熱費・委託費等の物件費高騰)に段階的に対応するため、新しく設けられる評価料です。
また、同じ流れの中で調剤基本料そのものも引き上げる方針が示されています。

いつ算定する?(頻度が超重要)

「3月に1回に限り」算定
→ “毎回つく”点数ではないので、改定直後に取りすぎ/取り忘れ
が起きやすいタイプです。

算定要件

この評価料は、ざっくり言うと

  • 保険薬局で、処方箋を提出した患者に対して調剤した場合
  • 3月に1回に限り算定
  • **令和9年6月以降は「所定点数の100分の200(=2倍相当)」**で算定

実際の経済・物価の動向が、令和8年時点の見通しから大きく変動した場合には、加点・減点を含めて必要に応じた調整が行われる可能性があります。

調剤事務が気をつけるべきポイント

  • 3月に1回の管理が最優先
    → 3月が変わればまた算定対象(※起点・区切りの運用はレセコン仕様に依存するので、レセコンの期間判定の仕様確認が実務上カギ)
  • 令和9年6月以降に「2倍相当」へ
    → 2026年6月だけで終わらず、翌年も再点検が必要

受付・会計で使える一言テンプレ

  • 「物価上昇に伴う光熱費などの影響に対応するため、国の制度として新しく設けられた点数です。3か月に1回だけ算定されます。」

2) 調剤ベースアップ評価料(新設)|「処方箋受付1回につき」算定。届出の有無がすべて

どんな加算?何の評価?

薬局で働く職員の賃金改善(ベースアップ)を行う体制を評価するために、新しく設けられる評価料です。
ポイントは、「患者さんの対応内容」よりも “薬局の体制(届出)” が前提になる点です。

政策としては、事務職員は(他職種より上乗せした)“5.7%程度のベースアップ”を実現するための原資を、2026年度・2027年度に確保する、という整理になっています。

いつも以上に給料がアップするかもしれませんね。経営者のみなさんよろしくお願いします!!

いつ算定する?

  • 処方箋の受付1回につき算定(外来の基本で乗りやすいタイプです。)
  • さらに 令和9年6月以降は、所定点数の「100分の200相当(2倍相当)」で算定 と明記されています
    → “改定直後”だけでなく、翌年の再変更にも注意が必要です。

算定要件(事務が押さえるべき結論)

この評価料は、ざっくり言うと

  • 処方箋の受付1回につき算定
  • **令和9年6月以降は「所定点数の100分の200(=2倍相当)」**で算定
  • 「賃金改善の体制がある」+「施設基準に適合している」+「地方厚生局長等へ届出済み」

この3点が揃っている薬局で、調剤した場合に算定できる、という構造です。
届出がないのに算定するとアウトになりやすいので、事務的にはここが最重要です。

施設基準(今回の短冊で読み取れる範囲)

施設基準として少なくとも次の2点が書かれています。

  • 対象職員(当該保険薬局に勤務する職員)がいること
  • 対象職員の賃金改善を実施するために必要な体制が整備されていること

※ここは薬局長・本部が整備する領域です。事務は「届出済みか」「算定する方針か」を必ず確認ですかね。

調剤事務が気をつけるポイント(改定月あるある)

  • 届出前にレセコンが先に動いてしまう
    → “算定できる薬局だけ”という前提を忘れがち
  • 処方箋受付1回につきなので、思ったより会計に影響が出る
    → 患者さんの「今回高い」の質問が増えやすい
  • 令和9年6月以降に「2倍相当」へ
    → 2026年6月だけで終わらず、翌年も再点検が必要

受付・会計で使える一言テンプレ

  • 「国の制度で、薬局で働く職員の賃金改善(処遇改善)に充てるための評価が新しく設けられた形です。」

※“薬局が勝手に上げた”印象にならないように、**「国の制度」「評価が新設」**の言い方が安全です。


3)電子的調剤情報連携体制整備加算とは(今回の改定案の位置づけ)

どんな加算?

「医療DX推進体制整備加算」が、「電子的調剤情報連携体制整備加算」へ改称され、評価区分は1つに整理される方向です。さらに、電子処方箋システムを使って「重複投薬等チェック」を行える体制を要件として追加する、とされています。

いつ算定する?

  • 月1回に限り算定(同一患者・同一月で“1回まで”の考え方)

施設基準(事務が“確認すべき中身”)

この加算で超重要なのは、「DXっぽい取り組みをしてます」ではなく、電子処方箋×調剤情報登録×重複投薬等チェックが“体制としてできる”ことです。

資料上、施設基準は以下です

  • 電磁的記録で作成された処方箋(=電子処方箋)を受け付ける体制
  • 調剤した薬剤に関する情報を電磁的記録として登録する体制
  • 患者が服用する薬剤について、有効成分の重複や不適切な組合せの有無を、電磁的記録に基づいて確認する体制

また「電子処方箋システムによる重複投薬等チェックを行う体制」が要件に追加

調剤事務が気をつけるべきポイント

「電子処方箋を受けた=OK」ではない

施設基準は、受け付けだけでなく、調剤情報の登録と、重複投薬等チェックができる体制まで要求しています。

  • 「電子処方箋受領→(薬剤師の)チェック→(必要な)登録」の流れで、店舗として“抜けない導線”を作る
  • 事務は**“どの画面(どの帳票)で登録完了が確認できるか”**を把握しておくと良いと思います。

受付・会計で使える一言テンプレ

  • 「電子処方箋に対応して、お薬の情報を電子的に連携できる体制を整えている薬局で算定される点数です。重複して同じ成分が出ていないかなどを確認できる仕組みのための評価が含まれます。」

4)調剤時残薬調整加算|事務が押さえるべき“算定の芯”と入力チェック

どんな加算?

重複投薬・相互作用等防止加算、在宅患者重複投薬・相互作用等防止加算が廃止され、新たに患者さん(または家族)からの聞き取り等で「残薬がある」と分かり、処方日数を調整したことを評価するための“新設””統合”された項目です。資料上も「残薬の聞き取り→残薬調整を実施した場合の評価を新設」と整理されています。

いつ算定する?対象患者(誰に付く?)

調剤管理料を算定する患者で、
飲み残し/飲み忘れの医薬品(残薬)が確認された患者が対象です。

算定要件(何をしたら付く?)

ポイントは3つです。

  • 患者または家族等から収集した情報等に基づいて、残薬が確認されていること
  • 処方医の指示の下に残薬調整のため 処方日数を変更していること
  • 原則は 「7日分以上相当」の処方日数変更

さらに重要な例外として、
6日分以下相当の変更でも、薬剤師が必要性ありと判断した場合は“理由を調剤報酬明細書に記載”すれば算定可能とされています。
→ ここが事務の“算定漏れ/返戻ポイント”になりやすいです。

調剤事務が気をつけるべきポイント

・調剤管理料を取っている処方か?
・ 残薬の確認が「聞き取り等に基づく」として記録されているか?
・ “処方医の指示の下に”日数変更になっているか?どの区分での算定か?
・ 日数変更が7日分以上が原則か?
・ 6日分以下で算定するなら「理由の摘要(明細書記載)」が入っているか?(超重要)

私が個人的に気になるのは”処方医の指示の下に”の部分です。今までは”処方医に対して照会”でした。この表現の違いがどうなるかが気がかりなところです。

残薬調整が6日分以下での算定の際はレセプト摘要欄にコメントが必要です。レセプト電算コードがあればいいのですが、決まりがない場合は薬局で統一しておくとレセコン登録時に楽だと思います。


5)薬学的有害事象等防止加算|「照会の結果、処方が変わった時」に算定

どんな加算?

重複投薬・相互作用等防止加算、在宅患者重複投薬・相互作用等防止加算が廃止され、新たに重複投薬などのリスクを確認し、処方医へ照会した結果、処方内容が変更になった場合に、薬学的な有害事象(副作用・相互作用など)の防止につながったとして評価するための“新設””統合”された項目です。

いつ算定する?対象患者(誰に付く?)

  • 調剤管理料を算定する患者で、処方医に確認すべき点(残薬に係るものを除く)がある処方箋が交付された患者

つまり事務的には、まず「調剤管理料の対象」かどうかが入口になります。

算定要件(何をしたら付く?)

要件の“芯”は3点です。

  1. 薬剤服用歴や、電磁的記録を用いた処方箋の仕組み等で重複投薬の確認を行う
  2. 処方医へ照会する(※残薬調整に係る照会は除く)
  3. その結果、処方が変更された場合に算定

点数区分(どのケースで算定?)

点数自体は資料上「●●点」で未確定ですが、算定場面は次のように区分されています。

  • 在宅患者へ処方箋を交付する前に処方医へ相談し、提案が反映された処方箋を受け付けた場合
  • 在宅患者に対して行った場合(イを除く)
  • かかりつけ薬剤師が、同意を得た患者に対して行った場合(イ・ロを除く)
  • 上記以外の場合

調剤事務が気をつけるべきポイント

算定漏れ・返戻を減らすために、ここだけは固定で確認がおすすめです。

・調剤管理料を取っている処方か?
・ 照会内容が「残薬調整ではないか」?
・ 「在宅」「かかりつけ」など、どの区分に該当か?
・ 薬剤師さんとの「算定あり」の共有をしっかりできているか?

調剤時残薬調整加算も区分によってレセコン登録方法がことなる可能性がありますので算定後やレセプト請求時の確認は必要かと思います。


6) 吸入薬管理指導加算(見直し)|算定間隔と対象が変わるのが要注意

何が変わる?

改定案では、保険薬局で行うインフルエンザ吸入薬の指導について、慢性疾患(喘息・COPD)と同様に服薬指導や曝露対策を行っている現状を踏まえ、吸入薬管理指導加算の要件と評価を見直すとされています。

特に事務として押さえるべき変更点は次の2つです。

  • ① 算定対象に「インフルエンザウイルス感染症患者」を含める
    → これまで主に喘息/COPD中心だった対象が、インフル吸入薬の患者も対象に入る方向です。
  • ② 算定間隔が「3月に1回」→「6月に1回」へ変更(改定案)
    → ここが一番ミスになりやすいポイントです。

算定間隔(ここが最大の事故ポイント)

画像の比較表では、

  • 現行:3月に1回に限り(30点)
  • 改定案:6月に1回に限り(●●点) ※点数は未確定表示

となっています。

✅ 事務的には「前回いつ算定したか」を、3か月ではなく6か月で管理する必要が出ます。
(改定直後は、スタッフの感覚が“3か月のまま”残りやすいので要注意)

改定案の算定要件(事務が知っておくべき中身)

資料上では、対象患者は「吸入薬の投薬が行われている患者」で、指導内容としては以下が書かれています。

  • 患者(または家族等)/ 保険医療機関の求めに応じて実施
  • 患者の同意を得た上で
  • 文書+練習用吸入器等を用いて、必要な薬学的管理・指導を実施
  • 保険医療機関に必要な情報を文書で提供した場合に算定

また、改定案でも引き続き
「服薬情報等提供料(区分番号15の5)は算定できない」
という“同時算定不可”の扱いが明記されています。

対象の整理(インフル吸入薬が入るのでここも要確認)

改定案の説明では、患者が自ら吸入を行う吸入薬の適応症は
喘息/慢性閉塞性肺疾患(COPD)/インフルエンザウイルス感染症
のみである点を踏まえて、対象範囲を整理する、とされています。

✅ 事務目線では「吸入薬なら全部OK」と誤解しないことが大事です。
(対象薬・対象患者の整理は、薬剤師側の判断と運用ルールに合わせます)

調剤事務が気をつけるべきポイント

改定後にミスが増えやすいので、最低限ここを押さえると安全です。

  • 前回算定日を確認(改定案は「6か月に1回」)→基本はレセコンが管理してくれるはず!
  • “指導実施あり”の共有が事前に来ているか
  • 医療機関への文書提供があるか
  • **同時算定不可(服薬情報等提供料)**の扱いを理解しておく
  • 患者質問用の一言説明を統一しておく(下に例)

受付・会計で使える一言テンプレ

  • 「吸入薬は使い方で効果が変わるので、正しい使い方の確認と必要な情報提供を行った場合に算定されるものです。今回はその対応を行ったためです。」
  • (間隔に触れるなら)「この加算は頻繁に付くものではなく、算定できる間隔が決まっています。」

薬局側の扱い(算定できない薬局がある?)

算定要件の文中に「別に厚生労働大臣が定める保険薬局において行われた場合を除く」という“除外”が入っています。
また資料内には、施設基準に関わる記載として「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」 という文言が出てきます。
→ 事務としては、自薬局が算定対象の届出・運用になっているかを薬局長/管理薬剤師に確認して、レセコンの設定(算定可否)と合わせておくのが安全です。


まとめ|改定直後に慌てないために、事務が先に“見える化”しておくこと

2026年の調剤報酬改定(案)は、単に点数が増減するだけでなく、**算定頻度(毎回/月1回/3か月に1回/6か月に1回)**や、施設基準・届出・同時算定不可・摘要コメントなど、事務業務に直結する変更が多いです。

特に事務として一番大事なのは、制度名を覚えることよりも、
**「6月から患者さんの自己負担がどう見えるか」と、「新設・見直し項目の算定タイミング」**を先に把握しておくことだと思います。

実際、患者さんは負担が下がると質問は出にくい一方で、上がると
「前回より高いのはなぜ?」
「今回から何が変わったの?」
が増えます。だからこそ、改定後は**会計前に“理由を短く説明できる状態”**を作っておくのが安全です。

改定後にまずやるべき「事務の準備」3つ

  1. 算定頻度の整理(カレンダー化)
     月1回/3か月に1回/6か月に1回など、頻度が違うものは、混ざると一気にミスが出ます。
  2. レセコン設定と運用ルールの統一
     届出が必要なもの・摘要が必要なもの・同時算定不可など、薬局内で“誰がどこで確認するか”を決めておく。
  3. 患者説明の一言テンプレを準備
     受付・会計で迷わないように、店舗で言い回しをそろえておく(揉めにくいです)。

この先、告示・通知で点数や細部が確定していきますが、**事務側が先に整えておくべきポイントは「頻度」「届出」「摘要」「同時算定」です。
この記事は、確定情報が出たタイミングで随時アップデートしながら、
“算定漏れを防ぐためのメモ”**として使える形にしていければと思います。

以上になります。

経営者や薬局長によっては算定、加算、解釈などに違いがあると思いますので、ご参考にしていただければ幸いです。

ご不明点やご質問がありましたら、ぜひコメントまたはお問い合わせからご連絡ください。

また、「この内容をまとめてほしい」「この加算について知りたい」など、薬局業務に関するリクエストも大歓迎です。

皆さんと一緒に、調剤事務として少しずつステップアップしていけたら嬉しいです。

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