
「この処方、なんか変かも…?」
薬局事務としてレセコン入力や受付をしていると、処方せんを見て違和感を感じる場面があります。
そんな時に必要になるのが 疑義照会(ぎぎしょうかい) です。
この記事では、薬局事務の方向けに
- 疑義照会とは何か
- どんな時に疑義照会が必要になりやすいか
- 事務ができるチェックポイント
- 薬剤師への報告の仕方(例文あり)
- 記録として残す項目
を、現場目線でわかりやすくまとめます。
疑義照会とは?
疑義照会とは、処方せんの内容に疑問点があるときに、薬局から医療機関へ確認することです。
例えば、
- 用法(飲み方)が不自然
- 日数と数量が合っていない
- 規格が違う気がする
- 重複している可能性がある
など、「このまま調剤して大丈夫?」と感じる処方に対して確認をします。
疑義照会を行うことで、調剤ミスや服薬ミスを防ぎ、患者さんの安全につながります。
薬局事務が知っておきたいポイント
疑義照会というと薬剤師の仕事…と思われがちですが、事務も重要な役割があります。
事務の役割は簡単に言うと2つだけです。
✅事務がやること
- 処方せんを見て「違和感」を拾う
- 薬剤師へ報告する(判断は薬剤師へ)
疑義照会をする・しないの判断は薬剤師が行います。
事務は「気づく」「共有する」だけで十分です。
【重要】疑義照会が必要になりやすいチェックポイント
いつも見慣れている門前の処方せんは流れがわかっている分、つい安心してしまいがちです。
しかし、門前以外の医療機関からの処方せんは注意が必要です。
特に 年末年始やGWなどの帰省シーズンには、遠方の医療機関の処方せんを持参される患者さんも増えます。
いつもと記載方法が違っていたり、文字が見づらかったり、初めての患者さん(新患)の場合は、思わぬ見落としが起きやすくなります。
そんな時こそ焦らず、いつも以上に丁寧に確認する意識を持つことが大切です。
忙しい時ほど、少しだけ心にゆとりを持って対応していきましょう。
ここからは、処方せんで特に多い“確認ポイント”を紹介します。
① 日数・数量・回数が合わない
疑義照会で一番多いのがここです。
例)
- 全量14錠なのに1日1回:1回1錠の28日分の処方
- 注射針の合計記載が70本なのに14本/袋 6袋の記載もある
- 1日1回のはずが、数量が多すぎる/少なすぎる
✅チェックのコツ
「用法 × 日数 = 数量」 になっているか確認します。
② 用法(飲み方)が不自然・矛盾している
用法の矛盾も疑義照会の原因になりやすいです。
例)
- 「1日1回」と書いてあるのに「毎食後」
- 頓服薬の服用指示がない
- 「寝る前」なのに「1日3回」など
処方入力時に違和感があれば、薬剤師へ報告しましょう。
③ 規格(mg)と錠数がズレている
これも入力ミスや処方ミスが多いポイントです。
例)
- 5mgのつもりが10mgになっている
- 同じ薬で規格違いが混ざっている
規格違いは事故につながる可能性もあるため、優先度高めで確認です。
④ 同じような薬が2つある(重複の可能性)
事務の段階では判断が難しいですが、
- 同じ成分が別の商品名で2つ
- 同系統の薬が複数出ている。テープとシップやクリームと軟膏
といった場合、重複の可能性があります。
✅ここで大事なのは
事務が判断しなくていいということ。
「重複っぽいです」と薬剤師に共有できればOKです。
⑤ コメント・指示が処方内容と合っていない
処方せんの備考欄や医師コメントにも注意が必要です。
例)
- 「一包化希望」と書かれている
- 1日おきの指示などの指示があるが他のお薬と同じ処方日数になっている
- 粉砕、半錠、粉に変更などの指示
- 食事が取れない、嚥下困難などの情報
こういった情報は、調剤方法や加算にも関わることがあるため見落とし注意です。
⑥ 患者情報と処方内容が合っていない
年齢や状態によっては、薬剤師の確認が必要なことがあります。
例)
- 小児なのに成人量に見える
- 高齢者で強い薬が出ている
- 妊娠・授乳の記載がある
- アレルギー情報が書かれている
こういった場合はすぐ薬剤師へ報告しましょう。
【最重要】事務員として「まず最初に」気づきたいこと
私が薬局事務として10年以上働いてきて、これは必ず確認したいと感じているポイントが2つあります。
どちらも、レセコン入力以前に気づければ防げることが多く、受付でのチェックがミス防止につながる重要な部分です。
✅医師の押印(印鑑)の有無
手書きの処方せんは問題ないことが多いですが、プリンタで印刷された処方せんの場合は、医師の押印が必要です。
押印がない場合は、そのまま進めずに受付の時点で必ず確認するようにしましょう。
✅処方せんの使用期間(期限)
処方せんの使用期間は、原則として 交付日を含めて4日以内 です。
まれに医師が使用期間を延長する記載をしている場合もありますが、それ以外では疑義照会をしても使用期間を延ばすことはできません。
受付時に期限切れがないか確認することで、後から対応に追われるトラブルも防ぎやすくなります。
事務から薬剤師への報告の仕方(そのまま使える例文)
疑義照会につながりそうな内容を見つけたら、薬剤師にわかりやすく伝えるのが大事です。
✅短い版(忙しい時)
「〇〇が日数と数量合わないように見えます。確認お願いします。」
✅具体的に言う版(おすすめ)
「〇〇(薬名)が14日分で28錠になっています。
1日1回1錠なら14錠のはずなので、疑義照会が必要か確認お願いします。」
✅規格違いのとき
「〇〇が5mgと10mgで混在しています。病院(クリニック)の入力ミスか処方意図か確認お願いします。」
疑義照会の記録は必ず残す(重要)
疑義照会は「した・してない」だけではなく、記録がとても重要です。
最低限、以下を残しましょう。
- 日時
- 医療機関名
- 対応者(医師/看護師/事務など)
- 照会内容(何を確認したか)
- 回答(どうなったか)
- 薬局側の確認者(薬剤師名)
まとめ:疑義照会は「評価される事務」になる一番の近道
疑義照会(ぎぎしょうかい)は薬剤師の仕事と思われがちですが、実は薬局事務の関わり方次第で、薬局全体の安全性や信頼が大きく変わります。
事務ができるのは難しい判断ではなく、以下の3つです。
✅評価される事務がやっている3つの動き
- 「違和感」を見逃さない
日数と数量が合わない、用法が不自然、規格が違うなど、処方せんの“引っかかり”に気づけることは大きな強みです。 - 薬剤師に「早く・正確に」共有する
疑義照会をするかどうかの判断は薬剤師が行います。
事務は「何が、どこが、おかしいと思ったか」を短く伝えられるだけで十分です。 - 疑義照会の内容をきちんと記録する
記録が残ることで、薬局としての対応が明確になります。
「再発防止」「引き継ぎ」「返戻対策」にもつながり、仕事の価値が目に見える形で残ります。
処方せんの「おかしいかも?」に気づけるのは大事な力ですが、実はそれ以上に現場で多いのがレセコン入力ミスです。
私が働く薬局でも、ヒヤリハットの中で一番多いのは入力に関するミス。
疑義照会の前に、まずは「入力でつまずかない」状態を作ることが、ミスを減らす近道だと感じています。
疑義照会は「仕事を増やす作業」ではなく、
**患者さんを守り、薬局のミスを防ぐ“価値のある仕事”**です。
処方せんをただ入力するのではなく、
**“薬局の安全を支える事務”**として関われるようになると、仕事のやりがいも評価も確実に上がっていきます。
以上になります。
ご不明点やご質問がありましたら、ぜひコメントまたはお問い合わせからご連絡ください。
また、「この内容をまとめてほしい」「この加算について知りたい」など、薬局業務に関するリクエストも大歓迎です。
皆さんと一緒に、調剤事務として少しずつステップアップしていけたら嬉しいです。
